本稿は,阪上(2009)「認知動詞に関する日仏対照研究1」の続編である.日本語動詞の中でも,思考や認識を意味する多義的動詞の代表とも言える「思う」がフランス語にはどのような動詞によって翻訳され得るか,を調査することにより,二言語間において動詞が及ぶ一定の思考的意味領域に関する対応関係を明らかにすることを目指す研究の一部である.前稿では,出発点の日本語動詞の「思う」の意味価値分析を中心に,それぞれの意味価値を翻訳するフランス語動詞の抽出結果までを示した.その調 査によって収集できた発話例から成るコーパスにおいて,原文と翻訳を対照させながら,思考的意味を共有する日本語とフランス語の言語表現を検討し,言語表現,とくに動詞表現に顕在化されている認知的意味領域に関する共通点および差異を明らかにするのが今回の分析の目的である.具体的分析対象を厳選するため,「思う」の意味価値のうちの7つを限定するに至った.それらの価値を顕在化している日本語発話と,そのフランス語翻訳とを,動詞表現に注目して分析を進めた.その結果,「思う」を翻訳するために使用される主要フランス語動詞を特定することができた.また,分析過程において新たに浮上してきた認知的意味を担う動詞の統辞的特徴に関する問題点は今後の研究課題である.最終ページに和文要
この論文は,ボードゲームというメディアの,教育的文脈における依然として知られておらず過小評価されている意義を強調することをその目的とする。この場合の教育とは外国語教育であってもそうでなくとも構わない。...
本稿の目的は,甲南大学で筆者が担当する外国語科目(フランス語)と言語文化科目(講義科目)の授業において実践しているアクティブ・ラーニングの方法とその狙いを説明し、学習効果と今後の課題について明らかにす...
フランス語動詞の複合形の形態に共通する「助動詞+過去分詞」は動詞活用の単純形と対をなし「完了アスペクトvs 未完了アスペクト」を表すことは国語としてのフランス語教育では周知事項である。しかし動詞時制形...
フランス語会話で自然にやり取りできるようになるためには、フランス語の運用能力を獲得するだけでは不十分である。本稿では「リアクション・マーカー」の簡単なリストを提案することで、オーラル・コミュニケーショ...
フランス語は、日本の学習者に難しいと思われている言語であり、このように感じられている事実に直面し、教師はしばしば、彼らが望む到達レヴェルを低く設定しようとする。われわれは逆に、このような選択が学習者の...
阪上(2009),(2010),(2011)では,日本語の認知的多義動詞「思う」を含 む発話とそのフランス語翻訳とを比較検討することにより,日本語およびフラ ンス語の動詞に現れる認知的意味を分析する試...
⦅言葉の癖⦆は、何よりも表現上の欠点とみなされていることから、「外国語としてのフランス語」の学習者には決して教えられることはない。しかし、語用論的な観点に立てば、こうした⦅口癖⦆の背後に隠された表現の...
日本においてフランス文学史を教えることの意義は何か。日本語のフラン ス文学史の参考書は、大正の頃からほとんど一貫してフランスで出版された 文学史を踏襲している。しかし、既に広く指摘されているように、フ...
フランス語と英語は,共に印欧語族に属し,語彙的にも文法的にも共通点 を多く持つ言語同士である.動詞の時称形に関しても,活用語尾で形態が決 定されるものと助動詞と過去分詞との複合的な形態を持つものを保有...
本研究では、ボーモン夫人が日本の模範的人物を選び主要な舞台を日本にしつらえた理由を明らかにする。作者は日本と日本人についてどのようなイメージを抱いていたのか。そして、そのイメージは当時のフランスの読者...
Sourisseau (2003) によると、外国人との接触に慣れていない日本人の学生の中には、語学の授業でネイティブ教師に対して不安を感じる者もいるという。 そこで、本研究では、ネイティブ教師が学習...
大学でフランス語学習を開始する学生は,同族言語である英語の運用能力 について一定レベルに達していることが前提にあるため,フランス語の構造 解説において,教員はその前提知識を活用することにより効率的に学...
P(論文)当研究ノートは、現在まで著者が使用した外国語教授法と教材・結果を分析し、外国語教授についてより効果的な方法についての考え方の基礎となる部分を明らかにする試みである。この作業の中で最近の一般的...
⦅言葉の癖⦆は、何よりも表現上の欠点とみなされていることから、「外国語としてのフランス語」の学習者には決して教えられることはない。しかし、語用論的な観点に立てば、こうした⦅口癖⦆の背後に隠された表現の...
高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)28.1%となり、世界一の超高齢社会となった日本では、ケアの需要をどのように確保するかが喫緊の課題である。一方、そのケアの担い手である看護職の長時間労働など、...
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